THOUSANDS OF FREE BLOGGER TEMPLATES

2007年12月8日土曜日

裕子

何度となく 囁きかけてみる
聴こえているかい? 君を呼ぶ声

何とはなしに 肩を抱いてみる
感じられるかい? この手の温もり

途方もなく 絵を見せてみる
色が分かるかい? 君の髪色

沈黙のまま 河原に腰掛ける
花の匂いが嫌いなのかい? 返り咲き

まだ幼い君の瞳は輝いていた
人形を見せられた時に
触れようと 手を伸ばす
震える指先の悲しい裏切り

何となく 振り返ってみる
夕陽が背中に消えた 虚ろな夢

沈黙のまま 河原に腰掛ける
秋桜ももう終わりだね

君は自分が大人になったと気付く時
その無力さに泣いた
心の傷 埋めながら
いつでも黙って何処かを見ている

何度となく 囁きかけてみる
聴こえているかい? 君を呼ぶ声

五感を失った君の眼が瞬きを繰り返す
何度も呼んでみる
強く君は 生きている
確かに生きている 涙が頬を伝う

2007年12月5日水曜日

硝子

雪の降らない12月の街に
信者は硝子の破片をビルから降らせました
行き場の無い人々は感嘆の声を上げ
幸せな赤に染まって行くのでした

硝子のシャワーを潜れば
汚れの無い綺麗な人間になれるそうです
慌て押し合い詰め寄った群集は
馬鹿と云うべき最期を遂げたのです

神様本当に僕達を見守ってくれているのですか?
雪の積もった熱帯の街では硝子を祀る儀式が始まる

聖者の鐘は不規則な三拍子を打ち
世紀末を棒読み数え
朽ち果てた人形が目を覚まし始めるのは
長針と短針が真上で重なる頃

神様本当に僕達を見下ろし笑っているのですか?
雪の積もった熱帯の街では神を宥める祭りが始まる